古レールの部屋

地味ですが、古レールも立派な近代化産業遺産です!国内外の古レールを紹介します、時々脱線も。コメント大歓迎です。

古レール 産業遺産 近江鉄道 豊郷駅のBARROW製

昨今、存廃で揺れる近江鉄道ですが・・・豊郷駅のホーム屋根柱に使われていたレールです。

レール標記 BARROW.   STEEL.   1899.    SEC 380.    O.  M.  I.

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近江鉄道の発注者名が入っている唯一のレールで、手持ちの資料には、OMI を何かの略

号と勘違いし、各文字間に情報の切れ目であるドットを入れている、とあります。

近江鉄道で見られるのはもちろんなのですが、関西本線王寺駅でも確認例があります。

従来、このレールの断面形状は、参宮鉄道が使った初代レールと同じ、50ポンド3種と

なっています。

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しかし、五箇荘駅の同じレールを針真弧を使って採った断面形状は、次のような断面でした。

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結論から言うと、50ポンド3種とSEC 380 は別の断面です。 

50ポンド3種とSEC 380 の決定的な違いは、ウェブ(腹部)の形状が50ポンド3種では直

線なのに対し、SEC 380 では曲線であること、頭部側面の形状が50ポンド3種では直線

に対し、SEC 380 では曲線であること、の2点です。

頭部側面の形状については、摩耗であることも考えられますが、ウェブ形状の違いにつ

いては、摩耗は考えられず、製造当初よりの形状であるのは間違い無く、50ポンド3種

とSEC 380 とでは、別の断面であると言わざるを得ません。

実は今まで、SEC380 に50ポンド3種の断面ゲージを当てても、ぴったりと合わないの

で、すっきりしませんでした。しかしこれは、自分の断面ゲージの作り方が雑なんだろ

う、程度にしか思っていなかったので、それほど気にかけてはいませんでした。

古レール調査で、断面形状を調べることの重要性を改めて認識した事例です。

しかしもう一つ問題が、発注者名は無いものの、今まで参宮鉄道の初代レールとされていた、

BARROW   STEEL   SEC 380  1/1893 

も、参宮では無い、と言うことになるのですが・・・。

 

また、もう一つ近江鉄道で疑問に思っているのは、初代レールが何であったか?です。

近江鉄道は1898(明治31)年の6~7月にかけて、彦根八日市間を開業させています。

一般に初代レールは、開業年の1~2年前の製造であることが多いのですが、近江の例で

言うと、1896~97年製のレールと言うことになります。

近江には、

CARNEGIE  STEEL  CO  L T D  ET  96  IIIIIIII  NANKAI (断面 50ポンドASCE)

や、

BARROW   STEEL   1897   O  T  K (断面 60ポンド1種 初代大阪鉄道)

と言ったレールも見られるのですが、どちらも発注者名入りの当時新品のレールで、こ

のようなレールが最初から近江へ入ってくるとは考えにくいです。

これらのレールは、それぞれの鉄道で、重軌条化など更換のあおりを受けて、発生品と

なったものが、後年になって入って来たものと考えられます。

この発注者名入りのSEC 380 は、1899年と言う製造年から考えて、1900(明治33)年の

10~12月にかけて開業した、八日市-貴生川間に充当されたものと考えられます。

新たな開業区間にSEC 380 を使ったのは、先に開業している彦根八日市間もSEC 380

を使っていたからでは無いでしょうか?違う断面を導入すると、それだけ保守にも手間

がかかることになります。

ただ、近江鉄道からは1896~97年製のSEC 380 は見つかっていないのが現状です。

先に関西本線の王寺にも、この発注者名入りSEC 380 があると書きましたが、実は、

BARROW  STEEL  SEC 380   1/1893 や、 BARROW  STEEL  SEC 380   1896

と言ったレールも一緒に存在しています。

前者は5年前ですから、初代レールである可能性は低いかと思います。(使用はしてい

たかも知れませんが)

しかし後者は、発注者名が入っていないので、決め手には欠けますが、製造年的にはぴ

ったりで、これが近江の初代レールでは無いか?と考えているのですが・・・。

 

今回は長くなりましたが、ご指摘やご意見をいただければ嬉しく思います。

それと、くどいようですが、レールの断面形状を調べるのは重要です。